メンテナンス
「歯医者は歯が痛くなった時に行くところ」と思っていませんか?
実際には、痛みや腫れなどの症状が出てからでは、すでにトラブルが進行していることが多く、治療に多くの費用と時間がかかってしまう場合も少なくありません。
歯医者は悪くなった歯を治すだけの場所ではなく、健康な歯を守るための場所でもあります。
定期的にメンテナンスを受けることで、日々のお手入れでは落としきれない汚れをクリーニングし、お口の中を清潔に保つことができます。さらに、虫歯や歯周病を早期に発見し、将来のトラブルを未然に防ぐことも可能になります。
歯の健康は、全身の健康に深く関わっており、食べる・話すといった生活の基本を支える大切な役割を担っています。健康で豊かな毎日を送るためには、10年、20年先を見据えた歯のメンテナンスが欠かせません。
大切な歯を守り、いきいきとした生活を続けるために、私たちと一緒に「歯のメンテナンス」という新しい健康習慣を始めてみませんか。
こんな時は歯科医院で行うメンテナンスが必要です
以下の項目に当てはまる場合には、一度メンテナンスを受けることをおすすめします。
特に何らかの自覚症状がある場合は放置せず、早期にご相談ください。
- 歯ぐきから出血することがある
- 歯の表面がざらざらする
- 歯の着色が気になる
- 口臭が気になる
- 甘いものや冷たいもので歯がしみる
- 間食が多く、甘い食べ物や飲み物が好き
- 歯医者に何年も行っていない
- 過去に虫歯や歯周病の治療を受けたことがある
- 自己流の歯磨きで、ちゃんと磨けているか不安
定期的にメンテナンスを受けるメリット
定期的なメンテナンスには以下のような効果が期待できます。
虫歯の予防
虫歯の原因となる歯垢(プラーク*1)や歯石は、毎日の歯磨きだけでは除去できないため、定期的にメンテナンスを受け、普段は落としきれない汚れを徹底的にクリーニングで除去する必要があります。特に一度治療をした歯は、詰め物や被せ物のすき間から再び虫歯(二次虫歯)になるリスクが高くなるため、専門的なメンテナンスが欠かせません。
日本人は、世界的に見ても虫歯が多い国民であり、35歳以上で虫歯になった経験のある人の割合は全体の9割を超えています。*2定期的なケアで虫歯になりにくい口内環境を保つとともに、正しい歯磨きの方法や虫歯になりにくい食生活の工夫や食べ方の指導も行い、虫歯予防の意識を高めていくことが大切です。
*1歯と歯肉の境目に溜まった粘性の物質。細菌が集まって形成されており、虫歯や歯周病の原因となる。
歯周病の予防と進行防止
歯周病は、虫歯と並び、歯を失う二大疾患の一つであり、前出の厚生労働省の調査によると、55歳以上の半数以上に歯周病の疑いがあるという結果が報告されています*3
初期の歯周病は、ほとんど自覚症状がなく、歯のぐらつき・歯ぐきからの出血といった症状が現れる頃には症状が進行していることも少なくありません。そのまま放置すると最悪、歯を失う可能性もあるため、定期的なクリーニングでお口の中の細菌を増やさないようにコントロールしていくことが大切です。継続してチェックを行うことでお口の中の異変にいち早く気付くことができ、早期に対策を行うことで歯周病の進行を抑えることが可能です。
*3歯周病の基準である4mm以上の歯周ポケットを持っている人の割合。
口臭の改善
口臭は、虫歯や歯周病の原因となるプラークや歯石の蓄積、不十分な歯のお手入れ、唾液の分泌不足など、さまざまな原因で起こることがあります。
メンテナンス時に、専用の器具で丁寧にクリーニングすることで、お口の中が清潔になり、口臭を改善することが可能です。また、口臭の発生する根本的な原因を突き止め、改善のための治療やセルフケアの指導を行っていくことで、口臭の発生しにくい状態を目指します。
口臭ケアは、周囲の人との気持ち良いコミュニケーションに欠かせない大切なエチケットです。
周囲に相談しにくいデリケートな悩みだからこそ、私たちプロフェッショナルにお任せください。
歯の着色(ステイン)除去
ステインとは、飲食物やたばこのヤニなどが歯の表面に付着してできる汚れであり、長い年月をかけて蓄積することで、”黄ばみ”や”くすみ”の原因になります*4。
ステインは、毎日の歯磨きでもある程度落とすことができますが、セルフケアには限界もあり、研磨剤入りの歯磨き粉で無理に除去すると、歯の表面が傷つき、かえってステインが付着しやすくなることもあるため注意が必要です。
歯科のメンテナンスでは、歯科衛生士が歯の表面を傷付けることなく、歯に付着した着色を丁寧に除去します。歯本来の自然な白さに戻り、見た目の清潔感アップにつながります。
*4コーヒーやお茶類に含まれるタンニン、赤ワインやチョコレート、カレーに含まれるポリフェノール、たばこのヤニ(ニコチン、タール)など。
※ステイン除去は歯本来の白さに戻すのが目的です。元の歯よりも白くするホワイトニングとは異なります。
体の健康を守る
口腔内の状態と全身の健康状態には、密接な関係があります。
歯周病菌をはじめとする口内細菌は、体内に入ると血管を介して全身に運ばれ、糖尿病や心疾患、脳卒中、誤嚥性肺炎、早産、低体重児出産などの疾患を引き起こすことがあります。
また、「噛む」という行為には脳を活性化させ、認知機能を高める効果があることが分かっており、虫歯や歯周病で歯を失ったり、ものが噛めなくなったりすると、認知症のリスクも高まります。
定期的なメンテナンスは、お口だけでなく、全身の健康を守るためにも欠かせません。
当院のメンテナンスの特徴
担当制で安心のサポート体制
当院ではメンテナンスを担当制で行っています。同じスタッフが継続して担当することで、患者さんのお口のリスクや生活習慣を正確に把握し、それぞれに合わせたオーダーメイドのケアをご提案しています。さらに、観察を続けることで、小さな変化や異常にもいち早く気づき、将来のトラブルを未然に防ぐことが可能です。
セルフケア指導の充実
虫歯や歯周病を予防する基本は、毎日の正しい歯磨きです。
当院では、患者さんのお口の状態や歯の形、生え方まで丁寧に考慮し、歯ブラシやフロス、歯間ブラシの適切な使い方を指導しています。また、間食の摂り方や食生活についてもアドバイスを行い、健康な歯を守るためのサポートに力を入れています。
高い専門性と正確な診断
当院の医師・衛生士は、日々の診療や学習を通じて専門性を高め、正確な診断と質の高いメンテナンスを提供しています。これまで培った豊富な症例経験を活かし、レントゲンやCTなどの検査を組み合わせて、虫歯や歯周病、噛み合わせ、根尖病変(歯の根の病変)、さらに生活習慣までを幅広く分析します。そして、患者さん一人ひとりのリスクを総合的に評価し、最適なケアにつなげています。
確かな技術と先進機器
当院では、熟練したスタッフが器具を正確に使いこなし、患者さん一人ひとりのお口の状態を的確に見極めて、丁寧にケアを行っています。さらに、インプラントを傷つけない特殊な超音波装置などの先進的な機器を導入し、より安全で精度の高い処置を実現しています。
メンテナンスの内容と流れ
当院でのメンテナンスは以下のような流れで行います。
カウンセリング・検査
医師または歯科衛生士が、気になる症状の有無や生活習慣、セルフケアの状況などを詳しくお伺いします。また、以下のような検査でお口の中の状態を確認します。
- 口腔内のチェック
歯科医もしくは歯科衛生士が、虫歯の有無、歯並び、嚙み合わせなどの確認を行います。 - 歯周病検査
歯や歯ぐきの境目にある「歯周ポケット」の深さを測ります。また、歯のぐらつき、歯ぐきからの出血、炎症の有無を確認します。 - 画像検査
X線撮影を行い、歯の根や顎の骨などの状態を確認します。必要な場合には、歯や顎の骨、神経の構造を立体的に撮影するCT撮影を行うこともあります。 - 染め出し検査
専用の染色液を用い、歯に付着したプラークや歯石に色を付けて、歯磨きの状態を確認します。プラークや歯石の多く残っている部分が赤もしくは紫に染め出されるため、ご自身の歯磨きのクセや磨き残しを確認することができます。
※お口の中の状態により、実施する検査内容は異なります。
また、検査により虫歯や歯周病が見つかった時は、治療を優先して行う場合があります。

プラーク・歯石の除去(スケーリング)
歯科衛生士が専用の器具を用い、歯周病や虫歯の原因となる硬くなった歯石やプラーク(バイオフィルム)を除去します。手動もしくは超音波の器具(スケーラー)を使って歯と歯ぐきの境目や歯周ポケット(歯ぐきの中)に付いたプラークや歯石を丁寧に取り除きます。
歯周病が進行している場合、歯周ポケットの深い部分に溜まった歯石やプラークを除去するSRP(スケーリング・ルートプレーニング)という処置を行うこともあります。

PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)
歯科衛生士が、柔らかいカップやブラシなどの器具を使い、歯ブラシの届きにくい歯の裏側や奥歯、歯と歯のすき間などをきれいに清掃します。歯の表面に付着したプラークや着色汚れを除去した後、歯の表面をツルツルに磨き上げることで、汚れや細菌が付着しにくくなる効果が期待できます。

フッ素塗布 ※必要に応じて実施
虫歯予防効果のある高濃度のフッ素を歯の表面に塗ります。歯質を強化して酸に強い歯にすることができます。また、歯の再石灰化*5を促進して修復する、虫歯菌の働きを抑制するといった効果も期待できます。
*5溶け始めた歯のミネラル成分を補給し、歯を修復すること。

セルフケア指導
磨き残しを減らし、歯の裏や隅までしっかり磨けるよう、歯ブラシの当て方やデンタルフロス、歯間ブラシの使い方なども実際に鏡を見ながら丁寧に指導を行います。また、患者さんの歯並びに適した歯ブラシやフロスなどのケア用品の選び方のアドバイスも行います。
また、食事や間食の摂り方、喫煙習慣など、食事や日常生活の習慣を見直し、改善のためのアドバイスを行うことで、虫歯や歯周病を予防し、長期的に健康な歯の維持を目指します。

メンテナンスについてのQ&A
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特にメンテナンスを受けた方が良い人はいますか?
メンテナンスは、大人から子供までどの年代にも必要な処置です。
高齢の方に多い歯周病や虫歯は放っておくと神経まで影響してしまうこともあるため、注意深い観察で早期に対処するなど、細やかなケアが必要になります。また、小さなお子さんは、心身の成長発達に大きく関わる大切な時期であるため、虫歯予防に加え、食べ方や姿勢などの課題をご両親と共有し、健やかな成長を一緒にサポートしていきたいと考えています。
もちろん、年齢だけでなく、生活習慣や全身の健康状態のリスクなども総合的に判断し、それぞれの患者さんに合わせたケアとアドバイスを行うことが大切です。 -
1回のメンテナンスの所要時間はどれくらいですか?
お口の中の状態や、実施する検査や処置の内容によっても若干異なりますが、1回のメンテナンスは60分が目安です。隅々まで見落とさず、丁寧に処置を行っていくためお時間を頂戴しますが、患者さんに無理のないように進めていきますのでご安心ください。
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メンテナンスは痛みがありますか?治療後の副作用などはありますか?
メンテナンスは、治療とは異なり、歯を削る治療ではないため、強い痛みを感じることはありません。歯石除去のために使用する超音波のスケーラーは、「キーン」という音がしますが、痛みを感じることはありません。歯石を除去した後、一時的に出血したり、冷たいものがしみたりすることがありますが、次第に治まることがほとんどですので、心配はありません。むしろ、メンテナンス後はお口の中が清潔になるため、さっぱりとした爽快感を味わうことができるのもメリットの一つです。
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メンテナンスは何か月ごとに受けたらよいですか?
3か月ごとのメンテナンスが基本です。ただし、歯周病は加齢に伴いリスクが高くなることから、もう少し短い間隔でのメンテナンスをおすすめする場合がございます。
その他にも、糖尿病などの持病のある方、喫煙習慣のある方、被せ物や入れ歯のある方、歯並びが不揃いな方などもハイリスクな場合があり、当院では、それぞれの患者さんのお口の中のリスクを包括的に評価し、最適な間隔でのメンテナンスをご提案します。
歯に関するお悩みやメンテナンスについての疑問、心配なことなどは、お気軽にお尋ねください。
院長からのひと言
日本は世界有数の長寿国となり、「人生100年時代」と言われるようになりました。
長い人生を、いつまでも美味しく食事を楽しみ、健康で生き生きと過ごすためには、歯の健康が欠かせません。歯のメンテナンスは、お肌や髪のお手入れと同じように、生活に取り入れていただきたい大切な習慣です。むしろ、お口の健康は全身の健康や生活の質(QOL)に直結するため、それ以上に必要だと言えるかもしれません。
お口の中のリスクはご自身では気づきにくいものです。私たちは虫歯や歯周病、噛み合わせ、生活習慣などを専門的に分析し、一人ひとりに合わせたオーダーメイドのケアをご提案しています。
「痛くなったら行く」から「痛くならないために通う」へ。当院はその新しいスタンダードを、しっかりとサポートしてまいります。