精密根管治療
「じっとしていても歯がズキズキ痛む」
「歯ぐきや顔が腫れてきた」
このような症状がある場合、虫歯が歯の内部の神経まで進行している可能性があります。
放置しても自然に治ることはなく、感染がさらに広がると最終的には抜歯が必要になることもあるため、早期の治療(根管治療)が不可欠です。
当院では、できる限り歯を残すことを重視し、マイクロスコープや歯科用CTなどの機器を用いた「精密根管治療」を行っています。患者さんの症状に合わせて最適な治療法をご提案いたしますので、痛みを伴う重度の虫歯や虫歯の再発にお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

このようなお悩みはありませんか?
以下のようなお悩みがある方には、当院の精密根管治療をおすすめします。
- 虫歯がズキズキ痛み、歯ぐきや顔が腫れている
- 過去に治療した歯が最近また痛み出した
- 重度の虫歯だが、抜歯を避け、できる限り自分の歯を残したい
- 他院で受けている根管治療がなかなか終わらない
- 他院で根管治療は無理だと言われた
- 根管治療後の二次虫歯のリスクを減らしたい
当院では、こうしたお悩みに対して「初回カウンセリング」を行っております。
まずはお気軽にご予約ください。
精密根管治療とは?
根管治療とは、歯の内部にある「歯の根(根管)」を治療するもので、「歯内療法(しないりょうほう/Endodontic therapy)」や「マイクロエンド治療」とも呼ばれます。虫歯菌が深く進行して根管内の神経(歯髄:しずい)*1に感染すると、強い痛みや腫れを引き起こし、放置すると最終的に抜歯となってしまうため、早期に感染や汚染部分を取り除き、歯をできる限り残すための治療が必要です。
しかし、根管の内部は非常に細く暗いうえに、入り組んだ複雑な構造をしているため、肉眼やルーペ(拡大鏡)だけでは正確に把握することが難しい部分です。
通常の根管治療では、X線画像を頼りに、医師の経験や感覚に基づいて処置を行うため、症状の把握や治療の精度に限界があり、場合によっては治療期間が長引いたり、治療後に痛みが再発したりしてしまうケースも少なくありません。
当院では、治療の精度を高めるために、患部を拡大して確認できるマイクロスコープや、立体的な画像診断ができる歯科用CTを組み合わせた精密根管治療を行っています。患部の状態を正確に見極め、適切に処置を行うことで、再発のリスクを減らし、歯を長く保つことを目指しています。
さらに、当院の院長は口腔外科で培った経験と技術を生かし、一般的な根管治療に加えて「外科的歯内療法(げかてきしないりょうほう:手術)」にも積極的に取り組んでいます。さまざまな外科的処置に対応できる体制を整え、複雑で難しい症例にも数多く対応しているため、通常は抜歯と診断されるようなケースでも歯を残せる可能性があります。
*1歯の中心にある神経と血管で構成される組織。歯に酸素や栄養を供給し、痛みなどの刺激を伝える役割を担っている。

精密根管治療で使用する機器・技術
当院の根管治療では、「マイクロスコープ」「歯科用CT」そして「ラバーダム防湿」を基本としています。これらは、歯科治療の先進国であるアメリカで広く行われている「米国式根管治療(アメリカンエンドドンティックスタイル)」の三本柱であり、日本歯内療法学会においても使用が推奨されているものです。当院では、これらの装置や技術を適切に組み合わせ、丁寧かつ正確な処置を行うことで、質の高い治療を目指しています。
マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)
根管治療の難易度を高める大きな要因のひとつが、根管の複雑な構造です。
根管の直径はわずか0.1~0.3mmほどで、入り組んだ形をしており、根の先端(根尖:こんせん)に向かうほどさらに細くなります。
マイクロスコープは、最大20倍まで拡大できる高精度の顕微鏡で、強力なライトで根管内を明るく照らしながら治療を行うことが可能です。また、モニターに映し出された映像を確認しながら治療を進めるため、細菌に感染した組織や根管の分岐部(枝分かれ)など、肉眼では見えにくい部分も除去することが可能です。細部まで鮮明に確認することで、削る範囲を必要最小限に抑え、健康な歯質をできる限り温存できるのも大きなメリットです。

歯科用CT(Computed Tomography)
一般的な歯科用X線(パノラマ・デンタルX線)は、二次元の画像しか撮影できないため、複雑な根管の形態を正確に把握することが困難です。そのため、根管治療では、根管の形状や長さ、神経の走行などを立体的に確認できる歯科用CTによる分析が欠かせません。
歯科用CTを用いることで、従来のX線では見落としがちな感染源や異常を正確に把握でき、より安全で確実な治療が可能になります。


ラバーダム防湿
根管治療では、治療中に細菌が根管内へ侵入すると再感染のリスクが高まるため、徹底した感染防止対策が不可欠です。ラバーダムとは薄いゴム製の防水シートで、治療する歯だけを露出させ、唾液や口腔内の細菌が根管内に流入するのを防ぎます。ラバーダム防湿を適切に行うことで、無菌に近い環境での治療が可能となり、再発のリスクを大幅に軽減することができます。
また、ラバーダムを装着することで、治療中に薬剤や小さな器具が口腔内に落下するのを防止したり、器具が粘膜や舌を傷つけたりするのを防止する効果も期待できます。

当院の精密根管治療の特徴・メリット
当院では、根管治療をより精密に行い、治療した歯をできる限り長く残すことを目的に、さまざまな工夫を取り入れています。
高性能な機器による精密な検査・治療
当院で使用しているマイクロスコープは、高性能かつ可動域が広いため、通常のマイクロスコープでは対応が難しい外科的処置(手術)から、繊細な調整が求められる歯の形成の最終仕上げまで幅広い治療に対応可能です。
また、高画質の歯科用CTを導入しており、密集した根の先端部(根尖部)に生じた病変も正確に把握できます。鮮明な3D画像によって、より正確な診断と分析が行えるため、必要以上に歯を削らずに治療を進められる場合もあります。
画像を使った丁寧な説明
当院では、マイクロスコープで録画した治療中の動画や、CT画像を活用して、患者さんご自身の歯の状態や治療内容を分かりやすく説明しています。実際の画像を見ながら確認いただくことで、治療への理解が深まり、安心して治療を受けていただけます。
治療器具・材料へのこだわり
精密な治療を実現するために、当院ではさまざまな器具や材料を厳選して使用しています。
症例に応じて最適な器具を選び、国内では手に入らないものは海外から取り寄せて対応するなど、治療の質を上げるための努力を惜しみません。
徹底した滅菌・衛生管理
根管治療では、わずかな細菌の混入が再発につながるおそれがあるため、当院では徹底した滅菌・衛生管理を行っています。使用する器具はすべて専用の機器で滅菌処理を行い、根の先端を扱う器具については一回ごとに新品を使用しています。これらの徹底した対策により、感染リスクを最小限に抑え、安全性の高い治療環境の維持が可能になります。
口腔外科の経験を生かし、外科的な治療(手術)にも対応
根管が複雑な形状をしている、深い位置に病変があるなど、通常の精密根管治療では対応が難しい症例であっても、適切な外科的な処置(手術)を行うことで歯を残せる場合があります。
当院の院長は口腔外科で培った豊富な経験と技術をもとに、歯をできる限り残すことを最優先に、一人ひとりに最適な治療方法をご提案しています。
根管治療の種類
根管治療は、虫歯の進行状態によって処置が異なります。
当院では、症状に応じて以下の4つの治療法を行っています。
抜髄(ばつずい)
虫歯菌が歯の神経(歯髄)まで到達すると、歯髄炎を引き起こし、ズキズキと脈を打つような強い痛みを生じます。そのまま放置すると歯髄が壊死(えし:細胞が死んでしまうこと)し、腐敗してしまう可能性があるため、感染した歯髄を取り除く「抜髄(ばつずい)」という処置を行います。
抜髄は、根管治療の中でも最初に行う基本的な治療です。歯髄を取り除くことで痛みはなくなりますが、根管内に細菌が残ると再感染の原因となるため、汚染部位を確実に除去することが非常に重要です。

感染根管治療(かんせんこんかんちりょう)
歯髄の炎症が進行して壊死すると、一時的に痛みは無くなります。
しかし、感染は根の先(根尖)や歯を支える骨(歯槽骨:しそうこつ)へと広がり、根の先に膿がたまる「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」を発症することがあります。
この状態を放置すると、膿の圧力で歯根周りの骨が溶け、歯を残すことが難しくなるため、根管内の腐敗した歯髄を完全に除去し、根管とその周辺を丁寧に清掃する「感染根管治療」を行います。治療により感染源が取り除かれると、根の先に溜まっていた膿も自然に吸収・消失します。

再根管治療(さいこんかんちりょう)
過去に根管治療を受けた歯が、再び細菌感染を起こし炎症を起こしている場合に行う治療です。
再発の原因としては、初回の治療で感染部位が取り切れていなかった、未治療の根管があった、あるいは詰め物や被せ物の隙間から細菌が侵入したなどの理由が考えられます。
再根管治療では、装着していた被せ物や詰め物を外し、再度根管内を清掃・消毒します。すでに治療した歯を再び削る必要があるため、初回の治療よりも難易度が高く、より精密な技術が求められます。
外科的歯内療法(げかてきしないりょうほう)
歯根が複雑な形状をしている、金属の土台が除去できない、根管が石灰化して器具が届かないなどの理由で通常の根管治療が難しい場合や、治療をしても症状が改善しない、もしくは再発を繰り返すようなケースでは、外科的な処置(手術)を検討します。
手術というと不安を感じる方も多いですが、根の治療の目的は歯をできるだけ残すことにあります。手術を選択することで不要な歯質を削らずに済むケースもあり、歯の保存の可能性を高める重要な選択肢の一つです。
代表的な外科的歯内療法には、以下の2つがあります。
歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)
歯ぐきを切開し、膿がたまった袋(嚢胞:のうほう)を歯の根の先端ごと切除する手術です。
処置をした後は封鎖性の高い特殊なセメントで根管をしっかり充填し、細菌の侵入や繁殖を防ぎます。時間の経過とともに骨が再生し、健康な状態へと回復していきます。
この手術は通常1回で完了します。装着しているセラミックなどの被せ物を外さずに治療できるのが大きなメリットです。
意図的再植術(いとてきさいしょくじゅつ)
一度、歯を意図的に抜き、病変や感染部を除去・処置してから再び口内の元の位置に戻して固定する治療です。通常の根管治療では対応が難しいケースでも、自分の歯を残せる可能性があります。手術は通常1回で完了します。自然な見た目や咬み心地を維持できるほか、周囲の歯や顎骨への負担も最小限に抑えられるのがメリットです。
精密根管治療の流れ
当院の精密根管治療は、以下のような手順で丁寧に進めていきます。
精密な検査
まず、X線撮影(レントゲン)や歯科用CTによって周囲の骨の状態を詳細に確認し、正確な診断を行います。必要に応じて、マイクロスコープを用いた事前審査を行い、肉眼では見えない細部まで把握します。
感染部位の除去
治療中に細菌が侵入しないよう、治療する歯以外をラバーダムで覆い、清潔な環境を確保します。そのうえで局所麻酔を行い、マイクロスコープで拡大し、細部まで丁寧に確認しながら、虫歯に感染した歯質を丁寧に除去し、歯髄(神経)を露出させます。
根管内の清掃
「ファイル」と呼ばれる専用の器具を使用し、汚染された神経組織や膿、細菌などを丁寧に取り除きます。根管の内部が完全に清潔になるまでこの処置を繰り返し、薬剤をしっかり充填できるように根管の形を整えます。
根管内の殺菌と充填
清掃後、根管内を隅々まで消毒し、細菌の再繁殖を防止します。
その後、生体親和性の高い充填剤(じゅうてんざい)*2を用いて根管内を密閉します。
この時の封鎖が不十分だと再感染の原因になるため、細部まで丁寧かつ確実に封鎖する必要があります。
*2根管内の密閉に使うための材料で、アレルギーのような拒絶反応や炎症が起こりにくいのが特徴。保険治療ではゴム状の樹脂であるガッタパーチャを使用しますが、自費診療の場合、強アルカリ性(pH12)で強い殺菌作用のあるMTAセメントなどの素材を選択することが可能。
歯冠(しかん)の修復
根管治療が完了したら、損傷した部分を修復して歯の形状を整えます。
まず、歯の内部に補強のための土台を立て、その上から型を取り、補綴物(ほてつぶつ:詰め物や被せ物)を作製します。完成した補綴物を装着し、噛む機能と見た目の回復を図ります。
この際、補綴物の精度が低く、きちんと装着できていないと、隙間から細菌が侵入して再感染の原因となるため、精巧な型取りと適合性の高い装着が不可欠です。細部まで丁寧に調整し、しっかりとフィットさせることで、長期的な安定と再発防止が期待できます。
精密根管治療の費用
精密根管治療は、保険診療の範囲を超える専用の装置や高品質な素材を使用するため、原則として自費診療(自由診療)となります。*3
1根管あたりの治療費は66,000-110,000円(税込)です。
また、診断に必要な歯科用CT撮影の費用として5,500円(税込)を別途頂戴いたします。
治療の総費用は、使用する材料や補綴物(被せ物・詰め物)の種類、治療の範囲などによって変動します。
当院では、費用の詳細や保険診療との違いについても事前にしっかりとご説明し、ご納得いただいたうえで治療を進めますので、どうぞ安心してご相談ください。
*3 一定の条件を満たす場合、マイクロスコープや歯科用CTの使用が保険適用になるケースもあります。
ただし、すべての症例で適用されるわけではなく、根管の本数や治療内容などの要件によって異なります。
詳しくは医師またはスタッフまでお問い合わせください。
精密根管治療についてのQ&A
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精密根管治療は痛みがありますか?
治療の際は麻酔をしっかり行いますので、治療中に強い痛みを感じることはほとんどありません。治療後に一時的な違和感や軽い痛みが出る場合もありますが、多くは数日で自然に落ち着きます。
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一回の治療時間はどれくらいかかりますか?また、通院回数はどれくらいですか?
精密根管治療では、細部まで丁寧に処置を行うため、1回あたりの治療時間は約2時間と長めになります。しかし、その分1回の治療内容が濃く、効率的に進められるため、治療は1~2回で完了するケースが多く、通院回数や治療期間を短縮できるのが大きなメリットです。
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根管治療後のメンテナンスはどのようにすればよいですか?
治療後は、再感染を防ぐためにも日常のセルフケアが非常に大切です。
ご自宅では、虫歯や歯周病の予防を意識し、歯ブラシに加えてフロスや歯間ブラシなどを使い、丁寧にお手入れしてください。また、3か月ごとの定期的な検診とメンテナンスを継続していただくことで、口腔内を清潔に保ち、治療した歯の健康を長く維持することが可能です。
治療後のお手入れについて、不安なことや分からないことがあればお気軽にご相談ください。 -
保険治療と自費治療ではどんな違いがありますか?
保険診療で行う根管治療は、治療費が抑えられる点が大きなメリットです。
ただし、保険の制度上、使用する器具や材料・治療法には制限があります。治療時間も1回あたり30分程度と限られるため、通院回数が多く、治療が長期化しやすい傾向があります。
一部条件を満たす場合、マイクロスコープや歯科用CTを使用できることもありますが、歯の位置や状態によっては使用できない場合もあります。
一方、自費診療で行う根管治療は保険診療に比べて費用は高くなりますが、治療の精度と自由度が大きく向上します。マイクロスコープや歯科用CTを使うことで細部まで正確に処置でき、保険診療では使えない薬剤や高品質な素材を選択することで、歯を抜かずに残せるケースもあります。また、治療回数や期間を短縮できるといったメリットもあります。
当院では、保険治療・自費診療いずれの場合も、患者さんにとって最善の治療を行うことを大切にしています。症状やご希望に応じて最適な治療法をご提案いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。
院長からのひと言
どんなに優れた被せ物やインプラントでも、ご自身の天然の歯に勝るものはありません。
当院では「できる限り歯を残すこと」を大切に、精密根管治療に取り組んでいます。
患者さんそれぞれの症状や状態をしっかりと見極め、必要に応じて外科的な処置も含めながら、最も適した方法を選択し、歯の寿命を少しでも延ばせるよう、丁寧で確実な治療を心がけています。
健康な歯は、全身の健康にも深くつながっています。
「噛む」という機能を守るためには、早期の治療と適切なケアが欠かせません。
重度の虫歯や再発でお困りの方、また他院で「抜歯が必要」と言われた方も、どうか諦めないでください。私たちは、大切な歯をできる限り残すために、誠意をもって最善を尽くします。
